序文ポリイミド・芳香族系高分子最近の進歩中日先端芳香族高分子会議録韓日ポリイミド会議要旨集検索HOME
序文
 
巻頭言
今井 淑夫
東京工業大学
名誉教授
序文1
横田 力男
宇宙機構
宇宙科学研究所
序文2
柿本 雅明
東京工業大学大学院工学研究科
有機・高分子物質専攻


DVD出版にあたっての日本ポリイミド研究会誕生にいたる裏話

宇宙機構 宇宙科学研究所
横田 力男

日本ポリイミド研究会の第一回が開催された10年前、1982年11月にアメリカでは東海岸のIBMワトソン研究所が中心となってポリイミド国際会議(Technical Conference on Polyimides held by the Mid-Hudson Section of the Society of Plastics Engineers)が開かれました。この会議はマンハッタンから100マイルほど離れたニュージャージー州エレンビルという山村のリゾートホテルで数日開催され、その後は3年に一度2000年まで続きました。ちょうどこの頃、スペースシャトルが初飛行して新素材・耐熱性複合材料への期待が大きくかったこともありNASAを中心とした多くの宇宙航空材料研究・技術者を含めて300名もの参加者がありました。特にみんな泊りがけで毎日、食事も一緒のテーブルでとるために自然と知り合いになれるといった普通の学会にはない特徴がありました。三田先生とこの会議に出席するたびに日本でもこのような研究会ができないもかと話し合っていたところに、高分子学会に小研究会へ資金援助する制度ができたことを知り、さっそく応募して承認されたのがはじまりでした。しかし泊りがけをしないで如何にして交流が図れるか考えた結論は、招待講演のあとの一般発表はすべてポスターとし飲み物とスナックを用意してフェース to フェースで討論が滑らか?になるようしたことでした。この試みは大変うまく作用したようで、研究会がここまで長続きしますます人の輪が広がっていることからも明きらかです。
中国とのセミナーについても、この会議の性格をよくご存知の中国上海市合成樹脂研究所の賀 飛峰(当時総工程師)先生や吉林大学 呉 忠文先生とのつながりがはじまりです。1995年、高分子学会のアロイ、ブレンド、コンポジット研究会の要望により第一回中日ABCセミナーがお二人の先生のお力で成功したことを受けて、翌年に中日ポリイミド・先端芳香環高分子セミナーを上海市合成樹脂研究所に事務局を置く中国芳雑環高分子研究会と日本ポリイミド研究会の共催で上海で実施することになりました。この会議の特徴も両国研究・技者互いの交流を図ることを第一としました。そのため2日間のセミナーのあと参加者全員で一日の見学と市内観光が組まれたことと、なにより発表は互いの母国語で行い、お二人の先生はじめ多くの中国人日本留学経験者による同時解説をする方式にしたことにより誰もが討論に参加できたことです。この会議を通じて多くの中国人留学生が日本に来るきっかけとなったばかりでなく、国を越えた技術情報の交換と工業材料・原料の企業間取引が大いに進展したことにあります。この会議がかくも長く続き、ますます盛んになっていることは中国の著しい発展だけではなく賀先生はじめ中国側関係者の心からの協力があることを記し深く感謝するものです。
この会議では中国側参加者全員に毎回ちょっとした贈り物を用意するしきたりがあります。しかし参加費はすべて実費のために余裕がなく、その選定にあちこちのデパートを走り回ることもたびたびでした。初めのうちは参加費用は米ドルによる一括振り込みであったためにせっかくの土産物代捻出の苦労が為替レートに振り回されて徒労に終わることもしばしばで、今は、良き思い出となっています。

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