序文ポリイミド・芳香族系高分子最近の進歩中日先端芳香族高分子会議録韓日ポリイミド会議要旨集検索HOME
序文
 
巻頭言
今井 淑夫
東京工業大学
名誉教授
序文1
横田 力男
宇宙機構
宇宙科学研究所
序文2
柿本 雅明
東京工業大学大学院工学研究科
有機・高分子物質専攻


日本のポリイミドの歴史を記したDVDに期待する

東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻
柿本 雅明

 日本ポリイミド会議の発端は、芳香族縮合系高分子の合成を永年やってこられた今井先生と高性能高分子の物理を研究されてこられた三田先生が、この種の高分子に関する情報交換の場としてはじめられた。当時はポリイミドの研究が華やかで、みんなに分かり易い名前ということで会議の名前にポリイミドを入れたと記憶している。我々の好きなように運営できるように、高分子学会の研究会のようなひも付きの組織にせずに、独立採算で行うこととし、東大と東工大とでかわりばんこに世話役となることでスタートした。参加登録費は一般5千円、学生は千円で、この参加費は今でも変更していない。(最近は「ポリイミド・芳香族高分子最近の進歩」の代金5千円をあらかじめいただいている)当初は60名程度の出席者で、みんな和気あいあいとした雰囲気で会議を楽しんできた。参加費はポスターセッションと抱き合わせのビアパーティーで消費してしまう。会社からの参加者もかなり突っ込んだ情報交換をやっておられたと思っている。 こんな状況なので、海外の研究者を招待することなどとても無理な話であったが、タイミングよく日本に来られた方々に招待講演をお願いしてきた。
 幸いなことに2000年頃から参加人数が100名を超えるようになった。一般の参加者が急増し、誠にうれしい状況になったのである。ポリイミドの研究がかつてほどの活気はなくなったと感じられる時期であったので、私にとっては不思議な現象であった。たぶん、何の宣伝もしてこなかった本会議が世の中に浸透していったのか、ポリイミドの実用がここへ来て本格化したものであろうと推察できる。
 日本ポリイミド会議の仲間が中国と15年前から交流してきたが、これも非常に価値の高いものと言える。この間の中国の発展ぶりは全く信じられないものであった。少々失礼ではあるが、15年前は中国の研究者と英語で会話できるレベルではなかったが、現在の中国は日本より英語が普及しているのではないだろうか。また、ポリイミドの世界でも圧倒的な日本上位であったが、今や中国は日本の市場を脅かすまでになっている。モノマーの供給バリエーションは中国の方が豊富であろう。
 今回、1992年から2011年までの「ポリイミド最近の進歩」(2003年からは「ポリイミド・芳香族高分子最近の進歩」)および1996年からの日中交流の予稿集を全てDVDに入れることができた。最近でも、ポリイミドの基礎的なことを聞きに来られる会社の方がおられるが、これからポリイミド周辺の材料開発を志す研究者にとっては、まさにバイブル的存在となると思われる。成書では見ることにできない生のデータが詰まっていて、丹念に読んでいただくと、どんどん宝が発掘できるものと思われる。また、学生時代の自分の論文を見つけて感慨にひたる方もいることだろう。DVDにすることによってコンピューターの得意技である検索を自由に使用できる点が大きな利点である。過去に、こんなことまでやっていたのかという研究がなされていたことが、キーワード入力で即座に検索できる。本DVDを大いに活用していただきたい。

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